ヘルパーズハイについて

ヘルパーズハイは、他人のために尽くしていると脳内にドーパミンなどの快感物質が分泌されてハイな気分になる現象です。自分のことを差し置いても他人のために献身的に働く姿は、尊敬されこそすれ非難されることは滅多にないでしょう。たとえヘルパーズハイになったとしても、本人は気付かないことが多く、他人からもとやかく言われることは無いので、見過ごされることが少なくありません。介護職として現場に勤務するスタッフは、高齢者や障がい者などの要介護者をケアする上で献身的に尽くす義務があり、懸命に働いているうちにヘルパーズハイに陥ることもあるでしょう。もちろん、介護職がヘルパーズハイの状態に達することは、必ずしも悪いことではありません。

ヘルパーズハイになれば無心に介護に専念できるので、介護サービス利用者にとっても不快なことではないでしょう。虐待やネグレクトに走るリスクも減ります。ただし、ランナーズハイと同様で、同じ行為を繰り返すことで快感を得られるため、依存症になることもあり注意が必要です。依存症になると、要介護者の自立を支援することを忘れてしまい、一挙手一投足に介入して自立を妨げてしまうおそれがあるからです。特に、特定の高齢者だけに対してヘルパーズハイが生じてしまうと、他の利用者からえこひいきとの批判を受けてしまうでしょう。こうした事態を回避するためには、介護職員がヘルパーズハイの存在を意識し学習会などで知識を共有して、依存症に陥らないようお互いにチェックすることが必要だと言えます。